らくてん会

らくてん会は西成寄席のお世話とアマチュア落語・演芸のサークルです。

◇口上(第76回)

◇口上(第76回)

お運びありがとうございます。

わたしの家にテレビが来たのは昭和三十九年の東京オリンピックのときでした。それから数年たってテレビがカラーになったころに、電話がついたのではなかったかと記憶しています。

我が家にテレビがやって来てから五〇年。テレビ好きのわたくしは時間が許せばずっとテレビを見ておりますが、中でも「探偵ナイトスクープ」という6チャンネルの人気長寿番組が大好きです。一般市民が悩み(深刻なものからアホらしいものまで)の相談を番組に寄せ、探偵役の芸能人が解決に取り組むという内容です。

この前も、「ひきこもり歴30年」という52歳の男性から番組に「現在の生活から脱して社会に出て行きたい。ついては探偵に手伝ってほしい」という依頼が寄せられました。さっそく探偵(カンニング竹山)が依頼者の自宅を訪ねて、長年のひきこもり生活に終止符を打とうという気持ちになったきっかけをたずねると「同い年の山中教授がIPS細胞の研究でノーベル賞を受賞したから」とのこと。たぶん全国の視聴者がわたくしと一緒に「どこと比べてまんねん?!」と突っ込んだことだと思います。

さて、人間関係が苦手な依頼者ですが、「自宅で犬を一匹飼っており、良好な関係」とのことで、それではと探偵が見つけてきたのが「ひきこもりの犬を散歩に連れ出す」という仕事。嫌がる小型犬(犬種は小型犬だが運動不足等のため著しい肥満で大きく見える)を根気よく説得して(おそらく依頼者が周囲から言われ続けた内容だと推察される)、とうとう連れ出しに成功するという感動のハッピーエンドとなりました。依頼者男性のピュアな心が中型風小型犬に通じたのだと思います。

ここで思い出したのが、知り合いの男性のことです。彼は趣味でトライアスロンをやってるんですが、先日彼の飼い犬が血尿を出したというのです。ご想像のとおり自身のトレーニングをかねて飼い犬を散歩に連れ出していたそうです。

虐待ですがな。

(山)

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