お運びありがとうございます。
むかしから「飲む、打つ、買う」を三道楽(さんどうらく)とか三陀羅煩悩(さんだらぼんのう)とか申します。つまりは男の三道楽、お酒とバクチと女性とのお遊びを指したものですが、世の中が進んで今や男女の別はなくなり、どなたも自由に遊びを楽しんでおられます。
さて、三つのうちお酒と異性との交流については体力の減退とともに終息に向かいますが、博打(ばくち)というのは幾つ何十になってもやろうと思えばやれますので、「博打は骨がらみ」などという言葉もございます。
競馬人気が続いておりまして、おりしも先週二十六日(日)は第八十回日本ダービーが開催されました。娘が「お父さん、一度馬券を買ってみたい」と申します。「たまに競馬場へ出かける」という友達の話に触発されたようです。わたくしも若い一時期熱心にやったことがありましたし、娘もまあ二十歳を超えてますので「ほな、新聞見て予想しいな」ということになりました。「ダービー」は「競馬の中の競馬」「レースの中のレース」ですので、八十年の歴史の中に数々のドラマが織りなされています。今回出走する有力馬9番エピファネイアに騎乗する当代の一流騎手福永祐一はかつて天才ジョッキーの名をほしいままにした福永洋一の息子であり、まだダービーでは勝利したことがない。さらに、天才と謳われ幾多の大レースを制してきたその父洋一も実はダービーというタイトルを獲得しないまま、レース中の落馬事故によって騎手生活を閉じた。また、サラブレッドは十八世紀初頭のイギリスで、ただ競馬に勝つことだけを目的に作られ、すべての競走馬はその系譜のうえに存在するが故に競馬は「血統のゲーム」と呼ばれる・・・などというウンチク話を新聞をにらみつけている娘に聞かせながら、わたしも予想を始めました。結果は、最後の直線で先頭に立ったエピファネイアがゴール前で差されて二着。娘は同馬の単勝を買っており的中せず、わたくしもダメ。福永父子の悲願は今回も・・・。「お父さん、競馬って当らんと面白ないね」。そうやね。 (山)