らくてん会

らくてん会は西成寄席のお世話とアマチュア落語・演芸のサークルです。

◇口上(第91回「西成寄席」)

◇口上(第91回「西成寄席」)

 お運びありがとうございます。

 今年は、6月の大阪北部地震に始まり、7月豪雨、台風、北海道地震と、矢継ぎ早の天災つづきで、台風21号では私の住んでおります住之江区南港では大きな木が倒れたり自動車がひっくり返ったりしました。私の家の方はと申しますと、ベランダの仕切りのボードが3軒続きで飛んで行ってしまいまして、団地は立体の長屋であるということを発見いたしました。皆様のところは如何でしたでしょうか。

 さて、先日、天王寺駅のところにあるミオ・プラザ館という建物。60才以上の方なら「ステーションビル」と言った方がとおりがいいのではないでしょうか。
 そこの一階にある喫茶店に入ったときのことでございます。
 天王寺駅の改札口で人と待ち合わせをしておりまして、思わん早く着きましたので、少し蒸し暑い陽気でしたので、冷たいものでもと、時間つぶしを兼ねて入ることにいたしました。
 広いお店で、「お好きなお席にどうぞ」と声がかかります。
 入口に近い二人掛けの席にすわると、いかにも学生アルバイト風の男性が、紙のおしぼりと水の入ったコップをぎこちない手つきでテーブルに置き、「ええっと、ご注文はお決まりですか?」と聞かれたので、「アイスコーヒーをお願いします」と返事をすると、帰ってきた言葉は「おひとつですか?」というものでした。

 ( 「逆・時うどん=注」やがな・・・)

 「はい。アイスコーヒーをひとつ。お願いします」
 このときの違和感、不安感(ほんまに誰かよこに…居てる?)は、初めての経験でした。

(注)上方落語の「時うどん」。二人の男が屋台のうどん屋で一杯のうどんを食べる(悲話ではありません)。一方の男がうどん屋と応対をして一文ごまかしたのを見て、もう一方の男が翌日マネをして失敗するという話ですが、男が全て前日と同じようにやろうと思い、自分一人しかいないのに、昨日同様二人で店に居る態(てい)でやり取りし、屋台の亭主に気持ち悪がられます。江戸落語の「時そば」は、最初からお客は一人です。今思うと、喫茶店で「引っ張りなっ」をやれなかったのが悔やまれます。                                                       (山)

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