お運びありがとうございます。
唐突ですが、あたまにデキモノができまして。
あたまの内(なか)ならこれは脳外科の領分で、ちょっと大層なことになるんですが、わたしの場合は外側つまり頭皮上のことで、これは皮膚科の縄張りで深刻さの度合いがグッと下がるのでございます。とはいえ、散髪屋に行きますと櫛にひっかかったり、時折ぼんやりとした痒みも感じます。そこで、西成区の玉出にある評判の良い皮膚科に行きました。このお医者さんがさすがに混んでおりまして、待合室で立っている人がいるくらいです。一時間待ちなどはザラで、慣れた方なんかは受付で看護師さんに声をかけてから、どこかへ用足しに行かれるくらいです。
やっと順番が来まして、診察室のいすに座らされて少し待っていると、先生が登場して、ルーぺというんですか拡大鏡で見ること2秒。
「イボや、コオラソ!」
「コオラソ」という器具が出てくるのかと思っておりましたら、これが「凍らそう」でして、何でも液体窒素(チッソ)を染み込ませた綿棒をイボの表面に押し付け細胞を破壊し、かさぶた状にして取ってしまおうという割と強引な治療法でして、正式には「液体窒素療法」という身もふたもない名前です。
要するに皮膚のうえにできたイボを「低温やけど」させ、凍傷によって組織を破壊されたイボを少しずつはがしていこうというわけです。
何やら恐ろしげな治療法ですが、実際にやってみると「やけど」とはいえ、それほど強い痛みはなく、むしろ蚊に喰われて膨らんでいる所に十文字に爪を立てるような、そんな心地よさがあり、わたし嫌いじゃありません。
先生が「しばらくかかるよ」とおっしゃるので、近所に良い喫茶店をさがそうと思っています。
( 山 )