らくてん会

らくてん会は西成寄席のお世話とアマチュア落語・演芸のサークルです。

口上

◇口上(第92回「西成寄席」)

お運びありがとうございます。

 カレーという食べ物は、カタカナのメニューですが、いまや日本人の食生活に不動の地位を確立した、まさに国民食と言ってよいと思います。

 長年にわたってハウス・バーモントカレーの普及に貢献した西城秀樹さんが、残念ながら昨年お亡くなりになりました。ヒデキ死すともカレーは死せず。ま、当たり前ですけど。バーモントカレーは永遠に不滅です、知らんけど。 

(個人的にはハウスよりSB、さらにメタル印度カレー派です)

 どんな「派」やねん!

 こういう時はほったらかしにせず、ぜひ突っ込んでください。

 4行戻りますが、「知らんけど」は大阪のおばちゃんが言うぶんには何ともないんですが、字にして読むとイラっとしますね。

 え~、ことし八七歳になる母親と話をしていると、こういうとっ散らかった感じの会話になります。話があっちへ行ったりこっちへ行ったり、関連はあるんですが微妙に話の主題がずれていくというか。普段の世間話でありながら予定調和していかない不思議な感覚です。この感じ。何か笑いにつながらんもんでしょうか?

 さて、カレーの話に戻りますが、大阪では「阪急カレー」とか「インデアンカレー」など従来型のカレーに加えて、スパイスカレーというのが大変人気です。

 わたしの勤め先の中津周辺は、いわゆる「激戦区」なんやそうですが、わたしは一度入って「おいしい!」と思ったらそこばっかり行くので、有名なお店がたくさんあるのに地下鉄近くの「まるせ」にしか入ったことがありません。

 昼は基本「チキン」「ポークキーマ」「グリーン」の3種類。「合いがけ」といって注文すれば複数の組み合わせもできます。

 夜は串焼きとかタンドリーチキンとか、いろいろなメニューが登場しますが、わたしは大抵「夜の定食」という何種類かのカレーの乗ったワンプレートと生ビールを注文します。

 こんなことを書いていると頭と口の中が「カレー」になって、このかつての日活ロマンポルノの題名のようなメニューを食べたくなってきます。           

 (山)

◇口上(第91回「西成寄席」)

 お運びありがとうございます。

 今年は、6月の大阪北部地震に始まり、7月豪雨、台風、北海道地震と、矢継ぎ早の天災つづきで、台風21号では私の住んでおります住之江区南港では大きな木が倒れたり自動車がひっくり返ったりしました。私の家の方はと申しますと、ベランダの仕切りのボードが3軒続きで飛んで行ってしまいまして、団地は立体の長屋であるということを発見いたしました。皆様のところは如何でしたでしょうか。

 さて、先日、天王寺駅のところにあるミオ・プラザ館という建物。60才以上の方なら「ステーションビル」と言った方がとおりがいいのではないでしょうか。
 そこの一階にある喫茶店に入ったときのことでございます。
 天王寺駅の改札口で人と待ち合わせをしておりまして、思わん早く着きましたので、少し蒸し暑い陽気でしたので、冷たいものでもと、時間つぶしを兼ねて入ることにいたしました。
 広いお店で、「お好きなお席にどうぞ」と声がかかります。
 入口に近い二人掛けの席にすわると、いかにも学生アルバイト風の男性が、紙のおしぼりと水の入ったコップをぎこちない手つきでテーブルに置き、「ええっと、ご注文はお決まりですか?」と聞かれたので、「アイスコーヒーをお願いします」と返事をすると、帰ってきた言葉は「おひとつですか?」というものでした。

 ( 「逆・時うどん=注」やがな・・・)

 「はい。アイスコーヒーをひとつ。お願いします」
 このときの違和感、不安感(ほんまに誰かよこに…居てる?)は、初めての経験でした。

(注)上方落語の「時うどん」。二人の男が屋台のうどん屋で一杯のうどんを食べる(悲話ではありません)。一方の男がうどん屋と応対をして一文ごまかしたのを見て、もう一方の男が翌日マネをして失敗するという話ですが、男が全て前日と同じようにやろうと思い、自分一人しかいないのに、昨日同様二人で店に居る態(てい)でやり取りし、屋台の亭主に気持ち悪がられます。江戸落語の「時そば」は、最初からお客は一人です。今思うと、喫茶店で「引っ張りなっ」をやれなかったのが悔やまれます。                                                       (山)

◇口上(第89回「西成寄席」)

 お運びありがとうございます。

 ゴールデンウィークというのが、今年も四月末から今月初めにかけてございまして、なかには九連休という方もあったのだそうです。

「ゴールデン〇〇〇」というネーミングが、最近では何かちょっと古風に感じられますね。今「ゴールデン」と聞いて頭に浮かぶのは、GW以外では、①テレビの時間帯、②犬、③カレー、あとは「女々しくて」という一曲だけで四年連続紅白歌合戦に出場したバンド=ゴールデンボンバーくらいでしょうか?

 そこで、悪い癖ですが、昼休みにインターネットで「ゴールデン」を検索すると、「皆様酒場昭和ゴールデン」というのが見つかり、さっそく仕事帰りに一人で行ってきました。連休明け、五月七日のことです。

 場所は大阪駅前第4ビルのB1。「出来過ぎやろ」と突っ込みを入れたくなるほどの店名と場所のマッチ。十九時半という一番混む時間とはいえ、店はほぼ満席。二~三分待って案内されたのは五~六人用の立飲みテーブルの一角で、すかさず生ビールとキズシと山芋とろろチーズ焼きを注文。生ビールはなんと一九〇円です。

 店内は連休が終わるのを待ちかねていたかのような、仕事帰りの男女であふれかえっています。テキパキと動く店員さんはそろいのTシャツで、背中には今は亡き植木等の似顔絵と「ちょいと一杯のつもりで呑んで・・・」という例のフレーズがプリントされています。店員さん、生まれてなかったでしょうね。

 三〇分ほど居て、ビールをおかわりして,〆て一`二二〇円。つまみはどちらも美味しかった。実は途中の電車の中で間違いなさそうなメニューをググってました。失敗を恐れる自分が情けない。次回は冒険します。

 良い店でした。でも、「酒のあて」はやっぱり「天友=てんとも」(岸里交差点の南東角)が断然うまいです。                     ( 山 )

 

◇口上(第88回「西成寄席」)

お運びありがとうございます。

 会社勤めをしておりますと、定期不定期に「監査」というものが行われます。内容は会計でしたり労務管理のことでしたりその時々に様々ですが、担当する者は準備と対応に大変苦労をいたします。

 「定期監査」は文字どおりある程度決まった時期にやってまいりますので、一定 の準備ということができるんですが、不定期というのは言わば「辻斬り」のようなもので、ある日突然「一週間後にそちらに行くので、これこれの書類を準備しておくように」とお役所やら監査法人などから連絡が入ります。まさに、ボーっと歩いていたらいきなり後ろからバットで殴られたようなもんです。

 わたくしの勤め先にも、つい先日突然「監査を実施する」との通達がありまして、小さな会社中がてんやわんやです。

 「それやったら、お前はなんでこんなもんを書いてるねん」

というご指摘もあろうかと思います。

 しかし、人間ずっと緊張しては生きてゆけません。やはり適度な息抜きは必要なんで、寸暇を惜しんでこれを書き始めましたら、悪いことは重なるもので三日ほど前からムズムズしていた奥歯が本格的に痛み始めました。加齢とともにだんだんと歯茎がダメになって、こちらのほうも定期不定期に痛みます。

 わたくし恥ずかしながら「痛み」というものにからっきしで、全く「耐性」がございませんので、もしわたしがスパイで敵に捕まったりした時は拷問要らずで、ほんと手間がかからないと思います。

 歯医者はいやですが、行けば楽になることは経験上承知しています。

 しゃあない、これから歯医者に行って、そのあと監査資料を作ることにしますか。「歯痛」と「監査」のダブルテイクアウト…。うまいこと言うてしもた。

                                        ( 山 )

◇口上(第87回「西成寄席」)

お運びありがとうございます。
 今月初めに仕事がらみの研修会で名古屋にまいりました。あてがわれた切符は近鉄電車のもので、大阪難波九:三〇発、名古屋一一:四九着。新幹線なら五〇分の行程が二時間二〇分。わたし、断然こちらの方が好きでして、経費節減策が労働者のメンタルヘルス対策を兼ねるという素晴らしいアイデアに感心するとともに、「こいつが一時間早く着いたところで絶対仕事はせんやろう」という当局の慧眼(けいがん)に少し恐ろしいような気がいたしました。
 特急が「白子」駅を出たあたりで、大阪難波駅内の「駅ナカ」で買った弁当を取 り出しました。幸か不幸か車内販売の無い特急でして、持っていたペットボトルのお茶で、春のように少し煙る濃尾平野の広がりを眺めながら、野菜たっぷりのお弁当をいただきました。
 近鉄名古屋駅から名古屋城近くの研修会場に参ります。乗ったタクシーの運転手さんがよくしゃべります。標準語です。
「ようしゃべりますなあ」というと、
「お客さんが大阪からお出でと伺ったもので…」と、わかったような、わからんような返事が返ってきました。

 研修会には全国から千人余りが参加して、主催者のスタンスも「ウエルカムto  名古屋」のようで、会場近くには物産展、講演の講師は「日本舞踊西川流・四世家元西川千雅(かずまさ)」さん。
 この家元さんの講演がじつによかった。本職の踊りも披露され、サービス精神満点です。プロフィールを見ると四八歳とありますが、もしこの人がホストになったら№1になること請け合います。いらぬお世話ですけど。
 一泊二日居た名古屋の印象は、「相手の琴線に直接触れて喜ばそうとする」、「鼻から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ(藤田まこと作)」といった感じでした。
 わかったような、わからんような感想ですみません。        ( 山 )

 

◇口上(第85回「西成寄席」)

お運びありがとうございます。

聞くところによりますと、なんでも東京都立の高校の約6割が髪を染めたりパーマかけていないかを調べるために、生徒から幼児期の写真などを添付した「地毛証明書」なるものを提出させているのだそうです。「では、そちらも出したらどうですか」という声が生徒側から出るでしょう、大阪なら。

さて、これを書いておりますのが連休さなかの5月6日でございまして、ニュースはフランスと韓国の大統領選挙でもちきりでございます。それから北朝鮮との軍事的な緊張ですね。
その北朝鮮関連のニュースで、先日、「日本もまだまだ広いなあ」とあらためて思う出来事がございました。

ご記憶かと思いますが、3月に北朝鮮が日本海に向けてミサイル4発を発射しまして、それが秋田県男鹿半島の沖合300キロの海に落ちたんやそうで、物騒な話しですが、時あたかも米韓軍事演習の真っ最中で、これをけん制するために発射したのではないか、とか言われておりました。
このニュースをテレビでやってるのを私見てたんですが。おじいさんがインタビューを受けて何か大きな声でしゃべってまして、画面の下に字幕が出てて、

「けしからん!何ということをする!」
とか言うてます。
私「わぁ、韓国の人もえらい怒ってはるねや」思てたら、マイクもってたリポーターが、
「以上、秋田県男鹿半島から中継でした」
私、びっくりしてあとの解説が耳に入ってきませんでした。
( 山 )

◇口上(第83回「西成寄席」)

お運びありがとうございます。

  二ヶ月ほど前に、わたくしのガラケー(ガラパゴス携帯)がスマホ(スマートフォン)に替わりまして、いまだにイライラと画面を強打する日々を過ごしております。

 もともと、娘は早々にスマホに乗り換え、私と妻が古い携帯電話でした。契約会社はいずれも「au」だったのですが、他に家のパソコンと電話は「NTT」、一緒に料金を引き落としている妻の父親のiパッドが「ソフトバンク」という、いわば多国籍軍のような状況であったところが、妻がどこかで「まとめたら安い」という情報を入手し、以来統一軍で戦線を開くべく準備を始め、9月に我が家と義父の契約会社一本化を宣言しました。

 9月中旬の休日に「auショップ」に連れて行かれ、妻は娘と同じ機種を購入、わたくしは割引率の大きい機種があてがわれました。
 翌日、メールをしようと操作していると、前の携帯からコピーして貰った、いわゆる「電話帳」のデータが消えてしまいました。もちろん、何故そうなったかは分かりません。仕方がないので、再び古い携帯電話を持ってショップに行くと、「全部消えてしまう事ってあまり無いんですけどねえ」「しょっちゅう消えられてたまるか・・・」という言葉を飲み込んで帰りましたが、しばらくはメールをするのがためらわれました。

    わたしは、携帯電話では「通話」「メール」しかしておらず、「ライン」などは不要のものと思っておりましたが、同年代の同僚でわたしより一年以上早くスマホデビューした奴が「任せろ」というので任すと、「電話帳」に載っているひと全員に「ラインやろうゼ」という通知を一斉送信したようで、「スタンプ」というんですか、マンガのような絵が、以前仕事でもめて大ゲンカをして数年来絶縁していた人から送られてきて、ちょっと複雑な心境になったりしました。

〝 メルアドの 変更から変更まで 便りなし 〟           ( 山 )

◇口上(第80~82回「西成寄席」)

◇口上(第82回)

お運びありがとうございます。

病気における「三大激痛」というのをご存知でしょうか。「三大」といいながら諸説あるんですが、ほとんどが「群発頭痛」「結石」「心筋梗塞」「痛風」「腎炎」の組み合わせです。      ※「陣痛」を含む説もある。

忘れもしない五月二十四日(火)、わたくし生まれて初めて「尿管結石」を発症しました。男性では十人に一人、女性は二十五人に一人、生涯に一度は罹患するそうで、ご経験ある方はお分かりでしょうが、かなり痛いです。

それは夕方四時に、左わき腹から腰にかけての鈍い痛みから始まりました。豊富な腰痛経験から、少しでも楽な姿勢を求めて、仕事中ではありましたが立ったり座ったり、曲げたり伸ばしたりを繰り返しましたが、まったく効果がありません。やがて痛みは強さを増しながら腹部へと広がっていきます。

仕事中のことですので周りに職員はいるのですが、じつはこの職場に来て実質十日ほどしか経っておらず、周囲の職員も「この人は四時になったら立ち上がって体をひねる人かもしれない」という疑念を払しょくできず、声を掛けることをためらっている様子です。

更に痛みは強くなり、呼吸は浅く、額に脂汗がにじむようになり、自分で救急車を呼びました。救急搬送された済生会中津病院で、CT検査により左尿管上部に10ミリ程度の結石が発見されました。

原因が特定されましたので、痛み止めの座薬を挿入して貰って30分。「薄紙がはがれる」ように痛みが引いていく快感を味わいながらベッドに横たわっておりました。

結石といえば30年位前に「胆石」を経験、手術しており、結石界の双璧、例えるならばアイガーとマッターホルンの北壁を制覇したといったところでしょうか。

この一カ月半後、石は「体外衝撃波尿管結石破砕術」の施行を経て、体外に排出されるのですが、その顛末はいずれ。                                   ( 山 )

◇口上(第81回)

お運びありがとうございます。

アボカドという、イメージとしては果物と野菜の中間のやや野菜よりに位置する食べ物をご存知でしょうか。わたくし長い間「アボガド」と思っていたのですが、「アボド」が正しいのだそうですね。

最近、我が家ではこのアボカドの種を使ったダイエット茶が飲まれております。例によってテレビ番組で取り上げられていたのを見て、妻と娘が導入を決定したのです。

アボカドを買ってきて種(果実1コに種1コ、ピンポン球を一回り小さくしたくらいの大きさ)を取り出し、厚さ2~3ミリに切って(包丁で簡単に切れます)、これを種1コにつき800CCくらいの水から煮出すこと40分、水が約半分の量に煮詰まり、ピンク茶色というややこしい色になれば出来上がりです。これを通常の食事の際にお茶代わりに飲むと、1~2週間で2キロやせるというのです。

味はゴボウっぽい(土臭い?)感じで、私の口には合いませんでしたので一度でやめました。妻と娘は強固な目的意識のためか「飲める」と言っています。

アボカドは若いものは表面が緑色で、熟すにしたがって黒くなります。全体がほぼ黒に近くなったくらいが食べごろなのですが、ダイエット茶にはその果肉ではなく種しか使いません。余った果肉(おかしいでしょ!)は3人で食べます。

 始めて1ヶ月。外から見ても解りませんが、妻と娘は「一定の効果」を主張します。しかし、訊(き)いても彼女は自らのウエイトは公表しません。わたしは、少なくとも家族3人の総重量は微増ではないかと疑っています。                                       ( 山 )

◇口上(第80回)

お運びありがとうございます。

おかげさまで「西成寄席」が第八十回を迎えました。平成八年にスタートし、年四回開催して丸二十年。これまで支えていただきました多くの皆さま、貴重なご芳志を賜りました各種団体・企業・個人の皆さま、ご手配いただいております桂春若師匠をはじめご出演の落語家の方々、そして何よりもご来場いただきましたお客さまに、厚くお礼を申し上げます。

始まりました当時、第一回をご覧いただいた落語作家の小佐田定雄さんから「血の通った文化事業」「今から西成区へ転居しようかしら」と期待の言葉をいただいた(産経新聞記事)ことが懐かしく思い出されます。

以来、区民・市民の皆さま方にかわいがっていただき、あっという間に二十年が経ちました。初回の頃に生まれた人は二十歳。二十歳だった方は四十、四十だった方は六十.六十・・・きりがございませんが、本当にありがたいことだと思っております。

この間には「繁昌亭」が開席。西成区でも「動楽亭」などプロの定席ができ、アマチュアの落語活動も盛んになってきています。また、平成二十五年からは六代目・桂文枝師匠が「西成区PR大使」に就任されるなど、西成区は上方落語とたいへん縁の深い土地柄です。そこで、今回は西成区政九十周年、さらに区民センター開設三十周年記念も合わせて「西成寄席スペシャル~鶴光さんがやって来る!」を、いつもの会議室ではなく区民センター大ホールで開催する運びとなりました。

これを機に、より多くの皆さまに上方落語を楽しんでいただけるよう、そして西成区が「落語のまち」としてさらにアピールできるよう、当「西成寄席」もひきつづき第九十回、第百回に向けて頑張ってまいります。

皆さまの変わらぬご支援とご贔屓を乞い願い上げ奉ります。

 

◇口上(第79回「西成寄席」)

お運びありがとうございます。

今年は秋が例年より暖かかったせいか、また大阪は選挙があったりして、「年瀬の気配」というものを感じないまま、ここまで来てしまった気がいたします。

年々季節感がなくなってきているように思いますが、クリスマスやバレンタインデーに関わりがなくなってきたことや、近年のハロウィンになじみがないなどの私の個人的な事情によるものかもしれません。

そんな中、あいかわらずこの時期に私のまわりによく現れるのが「宝くじが当たったら仕事をやめる」という人たちです。みなさんの周辺には居られませんか?

ちなみに、今年の年末ジャンボ宝くじの賞金は1等が7億円(昨年は5億円)、前後賞が1・5億円(同1億円)。つまり、1等と前後賞をあわせて10億円ということです。「10円置く」とちがいますよ。(すみません。春若師匠のギャグをパクリました)

何か、仕事にご不満があるんでしょうか。でも、それほど深刻ではないのでしょうね。「宝くじが当たったら・・・」という条件付きで「辞める」と言っているんですから。

しかし、これ、逆に言うと「宝くじが当たらなかったら辞めない」と言っているのと同じですので、心配してまじめに職場のことなんか聴いていると「いや、うちの職場も悪いところばかりじゃないんです・・・」とか言い出しますのでね。うっかり相手をしていると「あほらし」ということにもなりかねません。

だいたいお金の心配がなくなったら、仕事に行かないというのが、勤め人の私にはわかりません。仕事に出なければ、配偶者と過ごす時間が増えるだけではないでしょうか。

あっ、いえ、それほど深刻ではないのです。いいところもいっぱい・・・・・。

                               ( 山 )

◇口上(第78回「西成寄席」)

 お運びありがとうございます。

    唐突ですが、あたまにデキモノができまして。

 あたまの内(なか)ならこれは脳外科の領分で、ちょっと大層なことになるんですが、わたしの場合は外側つまり頭皮上のことで、これは皮膚科の縄張りで深刻さの度合いがグッと下がるのでございます。とはいえ、散髪屋に行きますと櫛にひっかかったり、時折ぼんやりとした痒みも感じます。そこで、西成区の玉出にある評判の良い皮膚科に行きました。このお医者さんがさすがに混んでおりまして、待合室で立っている人がいるくらいです。一時間待ちなどはザラで、慣れた方なんかは受付で看護師さんに声をかけてから、どこかへ用足しに行かれるくらいです。

 やっと順番が来まして、診察室のいすに座らされて少し待っていると、先生が登場して、ルーぺというんですか拡大鏡で見ること2秒。

 「イボや、コオラソ!」

 「コオラソ」という器具が出てくるのかと思っておりましたら、これが「凍らそう」でして、何でも液体窒素(チッソ)を染み込ませた綿棒をイボの表面に押し付け細胞を破壊し、かさぶた状にして取ってしまおうという割と強引な治療法でして、正式には「液体窒素療法」という身もふたもない名前です。

 要するに皮膚のうえにできたイボを「低温やけど」させ、凍傷によって組織を破壊されたイボを少しずつはがしていこうというわけです。

 何やら恐ろしげな治療法ですが、実際にやってみると「やけど」とはいえ、それほど強い痛みはなく、むしろ蚊に喰われて膨らんでいる所に十文字に爪を立てるような、そんな心地よさがあり、わたし嫌いじゃありません。

 先生が「しばらくかかるよ」とおっしゃるので、近所に良い喫茶店をさがそうと思っています。

                               ( 山 )