第73回
- と き 平成26年5月29日(木) 午後6時15分開演 (30分前開場)
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- 番 組
「花色木綿」 露の紫
「くっしゃみ講釈」 桂 吉坊
「野崎詣り」 桂 春若
「近日息子」 桂 団長
「天神山」 笑福亭枝鶴 <久しぶりに開演後にも椅子を追加する大盛況となりました。自ずと各演者とも力が入り、トリの枝鶴師匠は40分ちかい熱演でした。打ち上げのビールがうまい!一人だけいきなり日本酒をコップでいったのが吉坊さん、米朝師匠仕込み?>
第73回
お運びありがとうございます。
「飲む打つ買う」などというんですが、「打つ」つまり賭け事というものは、他の二つにいやまして魅力的なものなのだそうです。「親子茶屋」という落語のサゲで親旦那が芸者遊びにうつつを抜かす若旦那に対し「必ずバクチはならんぞ!」というくらいですから、賭け事こそ「キング オブ 煩悩」と言えるかもしれません。
さて、このギャンブルというものを理論的に分析した「ツキの法則」という本(PHP新書)がありまして谷岡一郎という学者さんが書いたものです。初版が十五年以上前ですので引用されているデータなどは現在のものとは少し違うところもあるのですが、人間の「気持ち」というものの不思議さがたくさん描かれていて興味が尽きません。
たとえばギャンブルで「勝ち負け0の状態から五万円負けること」と「三〇万円負けた状態が三五万円負けになる」とでは客観的価値は同じ五万円でも、主観的価値では後者の方が「負けた感」が薄い。つまり、人がギャンブルの泥沼にハマっていく過程の心理がわかりやすく 示されています。
また、こういう例も登場します。競馬場で「コーヒーの三〇〇円は高すぎる」と文句をつけながら馬券を一0万も二0万も買う人は、コーヒーという項目における価値基準と馬券を買うための価値基準が同じでない。その人にとって「ギャンブルに使うお金は、ある面では普通のお金ではない」という感覚が生じているというわけです。ギャンブルで勝ったお金は本人が懸命に働いたお金とは異なるため、結果として「ギャンブルで勝ったお金は身に付かない」ということになる。
著者は「公営ギャンブルでは約二五%、宝くじでは五〇%以上を主催者がテラ銭として天引きしており、長く賭ければテラ銭の率だけ収支はマイナスになる」ということを統計学を用いて完全に解明しています。その本人が、現在も性懲りもなくギャンブルを続けているというところが、まあギャンブルが「キング オブ 煩悩」である所以(ゆえん)でしょう。
第72回